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【2021/06/01】 健康メモ 非アルコール性脂肪肝炎(NASH/ナッシュ)について

 東小金井くろだ内科医院 畔田浩一  (市報 令和3年6月号)

 

 現在、肝疾患で最も多いのは脂肪肝です。日本には2千万人以上いるともいわれています。なかでも非アルコール性脂肪肝炎(以下NASHという)は増加傾向にあります。NASHが原因で、肝硬変や肝細胞がんを発症する割合が低率ではあるものの、増加傾向にあるため近年問題になっています。
 生活習慣の乱れや肥満、糖尿病や脂質異常症といった基礎疾患などから、肝臓に脂肪が沈着し脂肪肝になります。この脂肪肝に炎症や繊維化が起きると、脂肪肝炎になります。酒量がエタノール換算で1日に男性30g以内、女性20g以内の人に発症した脂肪肝炎がNASHです。ちなみに、アルコール度数5%のビール500㎖を例にあげて酒量計算をしてみます。0.05(度数)×500(㎖)×0.8(比重)=20gと計算できます。
 NASHに特徴的な症状や身体所見はありませんが、倦怠感や睡眠障害を認めることはあります。診断には採血や腹部超音波検査などの画像診断が必要です。また、肝臓の細胞を取って顕微鏡で調べる検査(肝生検)が必要な場合もあります。
 糖尿病や脂質異常症などの基礎疾患に対する治療薬がNASHに有効な場合もありますが、治療の第一は、食事・運動療法です。NASH予防にも運動が効果的です。
 コロナ禍で運動不足になっている方もいると思いますが、自宅でできる運動もありますのでぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。