日本の少子高齢化は他国に類を見ないスピードで進行しています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年には国民の生活に様々な支障が出る事が予想されており、いわゆる“2025年問題”と呼ばれています。この危機を乗り越えるために、「医療・介護・予防・生活支援・住まい」の5本の柱からなる”地域包括ケアシステム”の構築が急がれています。医師会が担う医療の分野では、“かかりつけ医による在宅医療”と”認知症対策”が重要な柱となってきます。
在宅医療協力医療機関一覧表に在宅医療を行っている医療機関をまとめました。患者さんの状態に合わせて計画を立てて訪問する訪問診療を行っている医療機関は16カ所あり、そのうち8つは24時間体制を取る在宅療養支援診療所です。さらに、在宅療養支援病院もあり、そこでは在宅療養患者さんの急変時に対応してくれる地域包括ケア病棟も稼働しています。それ以外の7医療機関は患者さんの求めに応じて往診を行っています。これらの医療機関は、介護事業者、訪問看護ステーション、そして入院が必要となったときの後方病院などとの連携体制を確立して、多くの患者さんのニーズに応えていこうと努力をしています。在宅診療が必要となったときに、この一覧表を参考にしていただければと思います。
認知症対策はかなりの部分在宅診療と重なってきますが、行政、認知症専門病院とも連携を取って進めていきます。2021年度からは認知症専門医や認知症サポート医による認知症検診が始まっています。対象年齢の方に手紙で連絡がありますので、検診対象となった方は是非参加をお願いします。複数の専門職による個別の訪問支援や初期診断、専門病院への受診勧奨を含めた本人・家族へのサポート等を行う認知症初期集中支援事業も継続しています。この事業には8人の医師会員が認知症サポート医として参加しています。また、スムーズな診療のために、物忘れ相談シートの活用も広く行っていきます。
市民の皆さんも、NPOや町内会組織を通じて身近な高齢者や認知症の方の手助けをして頂きたいと思います。地域包括ケアシステムは地域住民みんなで作っていくものであり、その基本は互いに助け合う”互助”とみんなで助け合う”共助”にあります。地域の皆さんで力を合わせて住みよい町を作っていきましょう。