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お知らせ

【2025/09/01】 健康メモ 腸内環境(細菌叢)を整える

介護老人保健施設小金井あんず苑  小森まき (市報/令和7年9月号)

 
 腸内細菌は主に出産時に母親の産道から、その後は入浴などの日常環境から赤ちゃんの腸に住み着き、成長とともにさまざまな環境因子や加齢によって変化していきます。
 小腸から大腸にかけて生息する腸内細菌は約1000種類100兆個にも及ぶといわれ、これらの細菌がグループごとに密集している様子がお花畑のように見えることから「腸内フローラ(植物群)」と呼ばれています。
 複数の腸内細菌が連携プレーでさまざまな有用な成分を作っています。この腸内細菌代謝物に最近話題の「短鎖脂肪酸」があり、代表的なものに「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」があります。
 「酢酸」は強い抗菌作用を持ち、腸管のバリア機能を高め、脂肪の蓄積を押さえる働き等があります。酢酸を作る腸内細菌の代表がビフィズス菌です。
 「プロピオン酸」は大腸のビフィズス菌を増やし整腸作用や、過剰な食欲を押さえたりする働きがあります。
 「酪酸」は腸のエネルギーとして使われるほか、過剰な免疫反応を押さえてアレルギー症状を改善する効果、炎症を抑える効果、血糖値を下げるインスリンの分泌を促す効果等があります。
 また腸と脳は自律神経やホルモン等を介して相互に影響を与え合っており、これを「腸脳相関」と言います。
 腸内細菌に元気に活動してもらうために規則的で良質な食事や睡眠、ストレスの元から距離をとったり、リラックスできる時間を意識的に作ったり工夫をして、素敵な腸内フローラを育ててください。