小金井市医師会の公式ホームページです。小金井市内の目的の医療機関がお探しいただけます。

お知らせ

【2025/06/01】 健康メモ その足上がってますか?

小金井太陽病院  小久保亜早子 (市報/令和7年6月号)

 
 現代の整形外科手術でもっとも多い手術は、おそらく大腿骨近位(あしのつけ根) の骨折でしょう。大腿骨近位の骨折はご高齢の方に多い骨折で、骨折の原因の多くは転倒です。高齢の方は骨がもろくて骨折しやすいという背景があるため、ちょっと転んだだけでも骨折してしまいます。そしてたとえ手術を受けたとしても、骨折をきっかけに介護を必要とするようになってしまうことがあります。
 転倒する場所の多くは、意外にも住み慣れた自宅です。東京消防庁によれば、高齢の方の転倒事故のおよそ6割は自宅で、具体的な場所は、居間・寝室、玄関、階段・廊下、浴室です。
 なぜ住み慣れた場所で転倒してしまうのでしょうか。救急車で運ばれてきた患者さんは言います。「段差があることは知っていた。越えられるはずだったのに越えられなかった」と。上げていたつもりの足が、思っていたほどには上がっていないということでしょう。年齢とともに身体機能が徐々に低下するので、いままで上がっていた足でも、だんだん上がらなくなっていきます。その結果、わずかな段差につまずいて転倒することになります。高齢の方には、こうした現実をふだんから意識していただきたいです。上げたつもりの足、ほんとうに上がっていますか?
 最後に、高齢の方の周りにいる方にお願いです。環境を確認して、段差をなくす、雑誌や新聞を片付けるなどして、転倒する危険を減らしてあげてください。