お知らせ
【2024/10/01】 健康メモ その胸やけ、胃食道逆流症かも
小松外科胃腸科 小松悠香 (市報/令和6年10月号)
食後に胸やけや横になると苦みを感じる方、それは胃食道逆流症かもしれません。胃食道逆流症は、内視鏡検査で食道粘膜障害を有する逆流性食道炎と、症状のみを認める非びらん性逆流症に分けられます。
逆流性食道炎は胃酸の逆流により食道粘膜が障害される病気で、日本人の約10%に見られます。胸やけや呑酸(苦味、酸っぱい感じ)が主な症状です。胃の内容物が食道に逆流しやすくなる食道裂孔ヘルニアという形態的な変形をきたしている方に多く、誘因として激しい肉体運動や脂肪摂取の増加、過食、肥満、円背、ストレス、薬剤などがあります。また、生活習慣による影響も少なくありません。肥満の方では食事療法、運動療法で逆流症状が減少し、喫煙している方では禁煙で逆流症状が減少することが知られています。遅い夕食も胃酸逆流が多くなってしまいます。就寝前3時間以内にはなるべく夕食をとらないようにして、脂肪食や甘い食べ物も控えるといいでしょう。一方、症状のみで内視鏡所見は乏しい非びらん性逆流症は、食道裂孔ヘルニアは合併しない低体重の女性に多い傾向があり、食道知覚過敏ともいわれています。
治療として逆流性食道炎も非びらん性逆流症も酸分泌抑制薬が有効なことが多いですが、ただ、漫然と長期維持療法を行うことは、ポリファーマシー(多剤服用による有害事象)につながることもあるため、必要に応じた最小限の用量での使用が望ましいと思います。