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【2024/08/01】 健康メモ 毛細血管の血液の流れ

むさし小金井診療所  竹村俊之 (市報/令和6年8月号)

 

 片方の首の後ろから肩にかけての痛みが続き、歳のせいかと考えていました。ところが秋になって冷房が切れると、その筋肉痛は自然となくなりました。これはエアコンの冷気が首や肩にあたり、毛細血管の手前の細い動脈が収縮(断面積を小さく)して、毛細血管の血流が減り、筋肉に必要な十分な酸素や栄養が不足したためです。毛細血管は赤血球が1個通れるほどの血管で、細い動脈と細い静脈の間にあり、壁が薄いため、まわりの内蔵、皮膚、筋肉、脂肪と血液の間で、酸素と二酸化炭素、栄養素と老廃物を交換する場所となっています。また毛細血管を通して、血液の熱が全身に伝わります。
 人体の熱は、食事と運動等に由来します。しかし身体の周囲の温度が低いと、血液から伝わった熱は身体表面からどんどん逃げて行きます。そのままにしておくと熱が失われてしまうため、たくさん食べたり運動しなければなりません。それは大きな負担ですから、毛細血管の手前の細い動脈が収縮して血流を制限します。これは人の思いとは無関係な自律神経の働きです。寒さによる身体表面の血流の低下のため、筋肉痛、神経痛、関節痛、凍瘡(しもやけ)等は冬場に悪化しやすく、冷房にも注意が必要です。また血流を調節する自律神経に悪影響するものには、ストレス、更年期のホルモンバランスの変化、不規則な生活などがあり、冷え・のぼせ(血流の増えすぎ)を起こすことがあります。