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【2023/03/01】 健康メモ お腹が痛い ということ

小金井つるかめクリニック  小林小の実 (市報/令和5年3月号)

 

 「お腹を開いて直接見れば、痛みの原因が100%わかると思いますか?」と、私が医師になったばかりのころに先輩の先生に問われたことがあります。みなさんはどう思いますか。
 「お腹が痛い」の原因は非常にさまざまです。いつから、どこが、どんな風に痛むのか、何をすると痛みが増すのか、といった問診を通して医師は痛みの原因が何かを大体絞り込むことはできます。そのうえで胃カメラ、大腸カメラ、CT検査で痛みの原因を突き止めるわけです。
 しかし、これらの検査でも痛みの原因が何も見つからない場合もあります。胃や腸の動きの異常で痛むことがあるのです。覚えにくい名前ですが「機能性ディスペプシア過敏性腸症候群」という診断をつけることがあります。こういった病気は、お腹を開いて直接見ても決して診断することはできず、痛み方の情報から診断するしかありません。
 また、お腹が痛い原因には胃や腸だけではなく胆のう、胆管、膵臓、腎臓や、女性であれば卵巣、子宮が原因となることがあります。胃が痛いと思っていたら、原因は「膵臓」や「胆管」ということもあるのです。さらには、内臓が原因ではなく、もっと表面の神経や筋肉が原因ということもあります。
 お腹の痛みの診断は難しいことがたくさんあります。原因を探すために、痛みについてできるだけ詳細な情報を医師に伝えてください。そのうえで、正確な診断のためにはある程度の検査も必要です。困った痛みがある時には、かかりつけの医師にご相談ください。