小金井市医師会の公式ホームページです。小金井市内の目的の医療機関がお探しいただけます。

会員専用ページ
お知らせ

【2022/02/01】 健康メモ コロナ禍と糖尿病患者の筋肉量減少

むさし小金井診療所 池本卓 (市報/令和4年2月号)

 

 コロナ禍は、直接のコロナウイルス感染症以外に、間接的にもいろいろな健康障害を多くの人たちに起こしました。糖尿病の患者さんについても、高齢者を中心に外出の減少、屋外での運動の機会が少なくなったことで、血糖値が上がってしまう人が多数見られました。それでも大部分の患者さんは、3か月から6か月後には元の血糖値に戻りました。
 それならよいではないかと思われるかもしれませんが、そうではないのです。多くの方が運動量の減少に合わせて、食事の量を減らされたのです。その結果、血糖値は下がりましたが筋肉量も減ってしまったのです。こういう方は、もともと肥満のないまたは少ない患者さんに多いようです。すなわち、ダイエットがやせ過ぎにつながったのです。
 一方で、肥満の糖尿病患者さんは、筋肉量は減らないものの、外出の減少や運動量の低下で筋力の低下がみられるようです。おそらくこれは、糖尿病でない一般の方にも当てはまることでしょう。それが特に、高齢者に顕著にみられたのではないでしょうか。
 それでは、筋肉量の減少や筋力の低下をどうしたら防げるでしょうか。これまで糖尿病患者さんの運動療法は、有酸素運動が中心で、筋力トレーニングはそれを補うものと考えられてきました。ところが最近は、筋肉量や筋力の低下は、体力の低下だけでなく転倒や骨折の危険にもつながることが分かってきました。高齢者には激しい筋トレは好ましくなく、家庭でもできる体操や屈伸運動で十分です。ぜひ1日のうちで体を動かす時間を多くしてください。
 さらに、すでに申し上げたように、行き過ぎたダイエットは危険で、適正なカロリー摂取、適切なタンパク質摂取を行うことも重要です。