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【2021/10/01】 健康メモ ピロリ菌による胃の症状、検査、除菌治療について

桜町病院 村田直樹 (市報/令和3年10月号)

 

 ピロリ菌感染により、アンモニアや毒素などが発生して胃粘膜が炎症を起こすため、症状としては、胃もたれ、胃部不快感、胃の痛みなどを認めます。これらの症状はピロリ菌除菌治療により、高い確率で改善が期待できます。またピロリ菌が胃がんや胃MALTリンパ腫(胃の中にあるリンパ球が腫瘍化したもの)を引き起こす原因のひとつであることがわかっており、無症状の人にもピロリ菌検査が勧められます。
病院でピロリ菌の検査をするためには、まず内視鏡検査が必須となります。胃がんをはじめとするピロリ関連疾患が併存している可能性があるため、内視鏡で調べたのちに除菌治療を行うべきであると考えられているからです。内視鏡でピロリ感染性胃炎が疑われたら、内視鏡下に粘膜を採取してピロリ菌の持つ酵素の有無を調べる迅速ウレアーゼ試験、ピロリ菌の産生するアンモニアを吐く息から検出する尿素呼気試験、血液検査でピロリ菌血中抗体を測定する検査の主に3つの検査のどれかを使って診断をします。
 ピロリ菌が存在すると診断されたら除菌治療が勧められます。胃酸を抑える薬と2種類の抗生剤7日分がパックになった内服薬で、一次除菌治療とそれで除菌できなかった場合の二次除菌治療があり、一次、二次を合わせるとほとんどの人が除菌に成功します。
 なお、除菌に成功しても胃がんのリスクがなくなるわけではないので、治療後も1年に1回の胃の内視鏡検査が勧められています。