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【2020/09/01】 健康メモ 三次喫煙

 やすたけ内科クリニック 安武哲生  (市報 令和2年9月号)

 

 ハンサムな俳優が、渋い顔にくわえたばこで仕事に打ち込んでいる。とてもさまになっていてかっこいい。ひと昔前の洋画や日本の刑事ドラマなどでも、よく見られたシーンでした。当時、このようなシーンに憧れて、喫煙を始めた方もいらっしゃったと思います。ところが、喫煙の害がいろいろ明らかになるにつれ、世界的にもこのような映像はほとんどなくなりました。
 「わかっているけどやめられない」という方も多いです。ご存じの通り、喫煙はさまざまな肺の病気の原因となります。「COPD」は知らない間に、息切れがひどくなる病気です。病状が進行した場合、常に酸素吸入をしていないと日常生活が送れなくなります。また、肺がん発症の危険性を高めます。そして、喉頭、食道、胃、大腸など、一見喫煙と関係のなさそうな臓器でもがん発症の危険性が高まります。さらに、全身の血管も痛んでしまうので、脳出血や心筋梗塞などの病気にもなりやすいと言われています。
 喫煙者が吐き出した煙を他の人が吸い込んでしまう、「受動喫煙(二次喫煙)」はご存じの方も多いと思います。さらに最近は、「残留受動喫煙(三次喫煙)」という概念が分かってきたようです。ホテルや旅館の部屋に入ったときに、たばこの匂いがする。壁やカーテンなどにたばこ成分が残留して、これを他の人が吸い込んでしまう状態です。産業医科大学では、喫煙後も喫煙者の吐く息からは45分程度、たばこ成分が排出されているというデータもあるようです。つまり、家族のためにベランダに出て、しっかり喫煙が終わっても、部屋に戻った時に、自らたばこ成分を家族に吸わせてしまっていた可能性があるのです。
 喫煙はコミュニケーションを取るための有効な手段となることもあります。しかし、それ以上の不利益もたくさんあります。大切な家族や周囲の人のために、禁煙はいかがでしょうか。