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【2016/03/30】 近頃の産科事情

小金井市報掲載: 平成28年4月1日号 ( 中野ウイメンズクリニック: 中野 睦子 )

 

 老齢人口の増加と反対に出産は増加せず、保育施設の増設や育児支援が政策としてまず取り上げられている昨今ですが、体内の胎児を育みながら10か月を過ごす妊婦さんたちは、必ずしも安全な状況にあるとは言えません。
 仕事を持ち必要な休養をとれない人には、母体健康保護法という法律がありますが、職場環境や家庭の事情から、充分に活用しているとは言えません。産科医不足のため、夜間緊急を要する時にも入院や受診がスムーズにできないこともあります。妊娠中の危険な兆候について妊婦さんたちはもっと担当医師と話し合い、あらかじめ危険を察知または予防するような事柄を知っておいてほしいと思います。しかし、妊婦さんたちにとって最大の不安は、産科医療の人材不足が解消されていない現状です。
 受精、着床、胎芽、胎児へと発育してく過程において、胎盤、臍帯血管から充分な栄養と酸素の供給が、胎児にいかなければなりません。母体の循環血液量は非妊時の1.3~1.4倍に増加してその役割を果たします。そのため、母体の心臓、血管、各臓器は大きな負担を強いられますが、胎盤は非妊時の何十倍もの女性ホルモンを分泌して母体を支え、胎児を育てるエネルギーを発揮します。母体内環境は日々変化し、約280日の妊娠期間で、一個の細胞である受精卵を何十億もの細胞から成る胎児に育てて、人間としてのスタートをきらせるのです。本人はもとより、すべての人々の注意深い協力が必要とされています。